ベルギー、ナミュール、ラーメン、メガネ。

ナミュールで食うラーメンが美味すぎたのである。ブリュッセルのラーメン屋の情報は数多くあれど、まさかナミュールにまでラーメン屋があるとは知らなかったのである。SANGAという。

白湯、塩、ネギ辛、醤油。むろん、醤油である。avecショーユのチャーシュー麺、醤油スープをひと嗅ぎすれば、ベルギービールの百倍酔っ払うに決まっており、柔らかすぎず肉肉しい豚肉はひときわ濃い味付け、その脂身が溶ける瞬間が一番、一番いけなかった。湯気で眼鏡が曇るのが幸いだった。寒い正午の、開店と同時に入ったのだった。‪

──なんで最近何もかもが楽しいのかと思えば、それは新天地で生活しているからでも一人暮らしだからでもなく、単に音楽に関する事件がないからで、学校が始まればいまの楽しさなど露ほども残らず消えてしまうのだろう。海を渡ろうが練習部屋が広くなろうが、こうしてラーメンを食べる自分にはミジンコほどの‬変化もなく、つくづく自分は、楽器を弾くことだけがままならない。

ナミュールのラーメンは美味すぎた。スープも飲み干した。ラーメンさえ美味けれぁ、もう、あとはなんだっていい。

 

Sanga
Rue Saint-Loup 8, 5000 Namur
081 24 10 38