10/19(金)室内楽演奏会「Endor」開催!
オーケストラ

オーケストラは合わせるものじゃない。上手なアンサンブルに必要な3つの要素。

こんにちは。

加藤綾子(@akvnimp)です。

 

わたしが「オーケストラやってるんです」というと、よく、

「オーケストラってどうやって合わせてるんですか?」

と聞かれます。

たしかに。あれだけの大人数、一体全体、どーやって合わせてるのか。自分でやっておいて不思議です。

ということで、きょうはその疑問に具体的にお答えしてみましょう。

オーケストラは合わせるものじゃない

まず、のっけからなんですが、オーケストラって「合わせる」ものじゃないんです。そんなことしてたら一気に大崩壊しちゃいます。

 

「合わせよう」と思うと、どうしてもみんな足並みが遅くなって、いわゆる「待ち」「お見合い」の状態になってしまいます。

なので、基本的にオーケストラは「合わせよう」として合わせているのではありません。

彼らは、

[list class=”li-check”]

  • ある程度曲を知っていて、
  • 周りの音を聴きながら、
  • 指揮者やコンマスの動きを見ながら、
  • 予測しながら音楽を演奏している。

[/list]

これが、上手なオーケストラのアンサンブルなのです。

スポンサーリンク

どんな作品でも曲を知っていることが前提

というわけで、オーケストラに乗るなら、どんな作品であれ演奏する曲を「知っている」ことが大事です。

 

たとえば、自分が2ndヴァイオリンを担当しているとします。

そしてここに、一ページまるっと白玉だらけの部分があったとしましょう。

このとき、パート譜だけ見て満足していたら、それは曲を「知っている」ことになりません。どころか、その曲のことをなんにもわかっていないことになります。

曲を「知る」ということは、

[alert title=”CHECK!”]

[list class=”li-check”]

  • いま、ここでメロディを弾いているのはどのパートだろう?
  • どんなメロディが乗っているのだろう?
  • ほかに刻んでいるパートはいるだろうか?
  • リズムやベースとなる音を弾いているパートは?
  • もしそういったパートがいなかったら、ここはメロディが自由に動くかも? ……

[/list]

[/alert]

といった疑問を解決しておくこと。

これがわかっていないと、いざリハーサルというとき何にも対処できず、右往左往することになります。

逆もまたしかり。

自分がメロディを弾いているとき、誰が・どんな伴奏・どんな対旋律を弾いているのか知っておかないと、勝手にオーケストラ全体の動きから外れてしまうことがあります。

▶自分以外の共演者の譜面をよく読もう、という話は室内楽でも同じことです。「初めての室内楽にオススメ!ピアノとヴァイオリンのデュオ作品をご紹介

 

だからみんな、音源を聴いたり動画を観たりスコアを読んだりするわけですね。

もちろん、作曲家や作品の背景も知っておかないと、「この作曲家なら、このアクセントはこう弾く」といったセオリーが抜け落ちてしまいます(このへんは慣れもありますが)。

周りの音を「聴く」こと・「予測する」こと

さて、そういった事前知識がある前提で、いざリハーサル。

が、残念ながら、頭に思い浮かべていた通りに音楽が運ばれることはめったにありません。

「ここでリタルダンドするのかい!」とか、

「そこでブレスを取るのかい!」とか、ままあります。これは本番でも同じこと。

 

というわけで、ここらへんで演奏者本人の「耳」そして「脳みそ」の出番です。

 

オーケストラでは、常に周りの音を「聴きながら」演奏することが肝心です。

「聴いてから」ではありません。聴いてからでは絶望的に遅いので、聴きながら・予測しながら弾いてるんです。即興演奏とそのまま同じですね。

▶︎「即興演奏と同じってどういうこと?」というかたは、コチラをどうぞ。

[kanren id=”1295″]

スポンサーリンク

「目」で受け取る情報

そして、正直、これだけでもオーケストラってアンサンブルができちゃうんです。

きちんとした演奏者が、きちんとした耳を持っていれば、それだけでじゅうぶん「あわせ」はできてしまう。だから室内楽や室内管弦楽団というものが成り立つわけです。

 

「へ?」

と思いましたね。

「じゃ、指揮者って何のためにいるの?」

と。

 

というわけで、ここからは「耳」ではなく「目」で受け取る情報についてです。

コンサートマスター

先ほど「耳さえあればアンサンブルはできる」といいましたが、さすがに限界があります。

管打楽器奏者や後ろのほうで弾いている弦楽器奏者のみなさんは、逆に、まわりの音なんて聴きながらやっていたらずれてしまいます。

なぜなら、彼らはステージの奥に座しています。

当然、彼らの発する音には時差が生じるわけで、ふつうに音を出していたら客席だと彼らの音は遅れて聴こえてしまうわけです。

なので、ここで彼らがヒントにするのが、ヴァイオリン奏者・とくにコンサートマスターの弓の動き。

弓って、なんでも語ってしまいます。

ここはどんな表情なのか、次はどんなテンポなのか……

それらを「目」で見て、予測しながら音を出す。舞台中心から遠い演奏者たちは、「周りの音を聴く」だけではなく、非常にシビアな判断を求められるのです。

 

▶︎じゃあ、「コンサートマスター」ってどんなことに気を付けてるの? というお話はこちら。「コンサートマスター/ミストレスの仕事をこなすために必要な17のこと

[kanren id=”1817″]

指揮者

そして、なんといったって指揮者です。

コンサートマスターを見るのと同じく、後方に座るひとびと、そして、すべてのオーケストラ団員たちが、常にその視界に指揮者の棒を入れています。

 

それはもちろん、アンサンブルをするためでもあるのですが……なんというか、指揮者がオーケストラに及ぼす影響って、もう、うまく説明できないんです。

こればっかりは理屈ではない。その振り方、人柄、雰囲気、立ち振る舞い、すべてでオーケストラは変わってしまいます。

同じオーケストラとは思えないくらい、変貌します。

 

さきほど言ったコンサートマスターも、指揮者から、

「次はこうなるよ」

「ちょっと大きすぎるよ」

「好きにしていいよ」

などなど、さまざまな情報を受信します。

つまり、コンサートマスターより早く、だれよりも早く情報を発信できるのが指揮者という存在です。

 

互いに「耳」「目」「脳みそ」を使って予測しあう演奏者たち。

それだけでもアンサンブルになってしまう彼らを、うまーくてのひらで転がして、気持ちよーく弾かせてあげて、その実、自分の思い通りに事を進めている――

それが、指揮者というものだと個人的には思っています。要するに黒幕ですね。

 

そして、指揮者という存在がいるからこそ、オーケストラは楽しいのだと思います。何事も、黒幕とか、裏とか、そういう存在がいたほうがおもしろいでしょ?

まとめ:「耳」「目」「脳みそ」でオーケストラは合わせる

つまり、上手なオーケストラは、

[list class=”ol-circle li-mainbdr main-bc-before”]

  1. 楽曲について事前に理解している、その場の変化に対応できる──「脳みそ」
  2. 周りの音に常にアンテナを張っている──「耳」
  3. コンサートマスター、指揮者、周囲の動きにもアンテナを張っている──「目」

[/list]

ざっくりと、この3つの要素をクリアしているのではないでしょうか?

オーケストラを知らないひとはもちろん、すでにオーケストラを経験しているひとも、「聴く」「見る」「予測する」ことをあらためて意識してみるとよいかもしれません。

 

それでは、また。

ABOUT ME
加藤 綾子
フリーランス音楽家という名のフリーター。 後ろ向きだっていいじゃない 人間だもの あやこ という意識の低さで生きている。ヴァイオリン演奏・ライティングなど、お仕事のご連絡はこちらにお願いいたします。ayakokatovn@icloud.com
室内楽演奏会「Endor」開催

「モーツァルトへの手紙」をテーマに、モーツァルト作曲の室内楽曲、そしてオーボエ四重奏のための完全新作「Endor」(エン・ドル)を初演いたします。

ご予約・お問い合わせはこちら!