こんにちは。
加藤綾子(@akvnimp)です。
突然ですが、あなたはいま、とてつもなく重要な本番を24時間後に控えています。
リサイタルでも、試験でもオーディションでも、なんでもいいです。
この本番でトチッたが最後、友人には蔑まれ、師匠には張り倒され、仕事は激減、恋人はあなたを見捨てて次の相手に乗り換えてしまいます。
さあ大変です。いよいよ緊張してきました。
そんなとき、あなたならどうしますか?
きょうは、「加藤さんてあんまり緊張してるように見えないよね。目が小さいから?」と評判のわたし・加藤綾子が、
【本番前にアガッてしまうあなた】
に、アドバイスいたします。
※自分の経験をもとにした個人的な見解ですので、苦情は受け付けません。容量・用法は自己判断で。
Contents
はじめに。本番24時間前は「コンディションを調える」時間
はじめに申し上げておきたいのが、
「本番前日〜直前は、練習しまくる時間ではない」
ということ。
……「間に合ってない! さらえてない! やばい!」の三拍子が揃っていなければ。
本番で「努力の成果を100%出し切る」なんてことは滅多にできません。でも、
そのパーセンテージを少しでも上げるため、
自分のコンディションを調えるため、
本番前の24時間を、大切に過ごしてほしいのです。
本番前夜はきちんと睡眠をとろう!
まずひとつ。
本番前夜はたっぷり睡眠を取ること。
これはよく聞く話。
「いやーきょう本番だから徹夜でさらってたわーツライわー寝れてないわーツライわーほんとツライわー」
というかたが本当に多いのです。
ひとこと言わせてほしい。
それ、意味なくない?
たいていのひとは、普段「夜寝て朝起きる」生活をしているわけです。
そのリズムをわざわざ、よりにもよって本番当日に狂わせて、調子よく本番を迎えられるはずがありません。
「緊張しちゃって眠れなくて……」
「いくら練習しても足りない気がして……」
というあなた、お気持ちはよくわかります。
わたしも、本番が近づけば近づくほど、いくらさらっても足りない気がしてきます。
でも、そんなときは、いっそ明日の本番のことは忘れ、体力を消耗させて眠りにつきましょう。
運動でもよし。
スマホいじくるとかSNS読むとか、目を疲れさせるのも手です。
ともかく、本番前夜はきちんと睡眠を取ること。
徹夜なんてもってのほか。よろしいですか?
会場には早めに着くように心がけよう!
本番1時間前には会場にいるようにしましょう。
「早く着いたら緊張しそう」というあなた。
うっかり寝坊して、うっかり忘れ物して、電車が遅延して、出番15分前に慌てて着替えて、舞台に出るよりは、数百倍マシです。(実体験その1)
慌てて行動すればするほど、息も上がるし心拍数も上がります。
みずから身体を「緊張状態」に追い込むようなものです。
慌てず、焦らず。
何かにつけて、早めの行動を心がけましょう。
ご飯はちゃんと食べよう!
これもよくいらっしゃいます。
「緊張して食事も喉を通らない」というアレです。
さすがに、これはわたしも「無理してでも食え」とは言いません。
でも、まったく食べないのはマズイ。
たとえ緊張のあまりお腹が鳴らなくても、いつもご飯を食べている時間には、胃袋がしぼんでいるはず。
本番前は、少しでもいいから空腹を満たしておきましょう。
チョコレートなど、甘いものを一口、食べるだけでも違います。
ただ、気をつけたいことがいくつか。
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- 本番1時間前には食べ終わっていること。
- 食べ過ぎないこと。どうしてもたくさん食べたければ、本番の2時間前には食べておく。
- 塩気が強すぎるものはできれば避ける。
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①と②は消化の問題です。
おなかがぱんぱんの状態で本番に臨むと、深い呼吸ができなくなり、かえって緊張を招きます。
直前にご飯をかきこんでなんか納豆くさいとかニンニク臭いとかならないようにしましょう。
そして③。
塩気が強すぎるものを本番前に食べると、緊張もあいまって喉がカラッカラになってしまいます。
演奏中に喉が張り付いて、危うくゲロっちゃいそうになるとか、想像しただけでぞっとしますね?
▶実際にレッスン中、ヴァイオリンを弾きながらゲロってしまったわたしの体験談はコチラ「わたしがシベリウスのヴァイオリン協奏曲を演奏しながらゲロッた話。」
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どうしても塩気の強いものを食べたいときは、早めに食べて、「お水」をたくさん用意しておきましょう。
「お水」は本番前の必須アイテムです。次の項目で説明します。
余分なものは、ぜんぶお手洗いに流しちゃおう!

もともと胃腸が弱いひとは言わずもがな。
本番前、着替える前にお手洗いに行って、ゆっくり時間を過ごす。
そして、お水をよく飲んでおいて、余分なものといっしょに「緊張感」も出しちゃう――そんなイメージを持つこと。
誰にはばかることなく、狭い個室でひとりきりで過ごす時間。
これが、リラックスするにはもってこいなのです。
実際にわたしもよくやる手です。騙されたと思って、ぜひ一度トライしてみてくださいませ。
本番前にさらうなー!
出番直前、控え室。
だいたい、みんな死ぬほどさらってます。まるで出番前から「おれがいちばんじゃあ!」と主張するがごとく。
ですがここで、わたしは声を大にして言いたい。
それは、
本番直前に必死こいてさらうなーっ!
ということ。
最初に申し上げたとおり、本番前はコンディションを調える時間です。
本番直前で緊張がマックスの状態。
さらに、まわりがギャーギャー騒いでる中さらっても、上手くなるわけがありません。
「あれ?いつもなら弾けるのに、なんで弾けないの!?」
「まわりの音が大きくて自分の音が聞こえない……もうムリ……」
と、自信を失くすこと間違いなし。(実体験その2)
出番直前は、自分の楽器と心を落ち着けるために、最低限の音出しをしましょう。
指をほぐしたり、気になる箇所を落ち着いて弾けるテンポで確認したり。
(緊張していると、大概ふだん練習しているテンポより速く弾いてしまいます。自分のペースを忘れずに!)
わたしはよく、曲の冒頭だけを繰り返し確認します。
ご自分でいろいろ試してみてくださいませ。
「舞台に上がってから音を出す」までの時間を大切に。
「舞台に上がってから実際に音を出す」までの数秒間が勝負。
これは、【音楽家よ、美しくあれ】の記事でも触れました。
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この記事では「見かけ」や「立ち振る舞い」にフォーカスしていますが、今回は「時間の使いかた」について。
舞台袖から舞台中心に向かって歩き、お辞儀をして、楽器によってはチューニングをして、それから、演奏し始める。
この一連の動作って、意外と時間がかかるんです。
緊張してしまうと、どうしてもせかせか動きがち。そこをぐっとこらえましょう。
コツは、入場から演奏までのあいだ、ゆるやかな呼吸を止めないこと。
身体を「ゆっくり動かそう」とするのではなく、ただ、自分の呼吸に集中しましょう。
ゆったりした呼吸をすればするほど、自然と動作に余裕が出てきます。
何より忘れないでほしいのが、舞台では、あなたが音を出すまで、音楽は始まらないということ。
他でもない「あなた自身」のために、時間を稼ぎましょう。
最後に:緊張しているのはあなただけじゃないのよ。
というわけで、【本番前の緊張感と上手に付き合うための7つのアドバイス】。
最後の7つ目は、
「緊張しているのはあなただけではない」
ということ。
本番で緊張しないひとなんていません。
周りがどんなに強気に見えても、実はみーんな緊張しています。
だから、本番前に緊張するのはごくごく当たり前のこと。
「こんなに緊張するなんて、自分はやっぱりダメなんだ」
とは、間違っても思わないように。
本番前に緊張していないときのほうが怖いですよ。集中力が散漫になっている証拠ですから。
緊張は必要なことなんです。緊張しているからこそ、いい演奏ができるんです。
みなさんも、この記事を参考に、自分なりの「緊張との付き合いかた」を見つけてくださいませ。
それでは、また。