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一度は見て欲しい、藤田嗣治(レオナール・フジタ)の愛らしい手紙

今日は画家・藤田嗣治、洗礼名レオナール・フジタの作品──ではなく、手紙について話したい。

というのは、2018年6月、目黒区美術館「没後50年 藤田嗣治展 本のしごと」で展示されていた、彼の手紙がとても印象的だったからだ。

パリで活躍した日本人画家・藤田嗣治の裸婦と猫

藤田嗣治は、ご存知の方もいるかもしれないけれど、第一次世界大戦前からフランスに単身乗り込み、しかも、当時のパリ画壇でものすごい評価を得て、売れっ子になった。特に女性──裸婦の絵は絶賛され、それが彼の活躍や評価の土台となった。

 

また、藤田嗣治の作品で有名なのが、猫の絵だろう。自宅に猫を何匹も飼っていたらしく、自画像やポートレート写真も、飼い猫と一緒だったりする。

 

特に、藤田嗣治が描く女性の姿は、可愛いようでエロティックに思う。なんだか、フェチっぽいものを感じる。

女性のさりげない口元や手元、服を着ているのに、ちょっと不自然なくらいに線でなぞられた身体の輪郭。

こんなことを書くと怒られるかもしれないけれど、いまの日本人が好きなアニメや各種メディアと、フェチなポイントが通じているのかもしれない。そうか、パリジャンはこういうのが好みか。私も好きだ。

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「藤田嗣治 本のしごと」展──藤田嗣治の挿絵

目黒区美術館の「藤田嗣治 本のしごと」展は、藤田嗣治がフランスや日本で実際に挿絵を寄せた本を中心にしていた。

 

当時の本がそのまま展示されているので、藤田嗣治の絵はもちろん、本そのものの装丁やデザインを間近で見ることができる。私なぞはもともと本フェチなので、100年近く前に綴じられた古紙の束を見るだけでヨダレ垂れそうでした。

図録のデザインもとても良かった。表紙に「イメージとのたたかい」挿絵をチョイスしているところがわかってるぅ。

 

藤田嗣治の愛らしい手紙たち

でも、私が一番心奪われたのは、藤田嗣治の手紙だった。

 

ともかく彼は筆まめだったらしく、まだ若い学生時代の頃からたくさん手紙を書いていて、そこにはもちろん、絵も描いてある。その絵がまた、なんだかコミカルで面白い。

主に展示されていたのは学生時代の手紙や、1度目のパリ滞在時、妻だった女性に宛てた手紙などだった。後者は、パリの女性の衣装を仔細に描いたり、「君がパリに来たら僕が衣装を作ってあげるぜ」的な言葉も見受けられる。

便箋にびっちり、雑誌のコラム部分のように文字が敷き詰められ、極端にシンプルな線で描かれたイラストが挿絵のように挟まれている。流れるような筆致に見えるので、さぞやルンルンで書いていたのだろう。

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手紙に込められた、藤田嗣治のラブコール

特に、展示の目玉だったのが、ニューヨークに滞在していた藤田嗣治が、日本で世話になった藤田作品のコレクター、エドワード・シャーマン(と、最後の妻となる君代)に送った手紙。

アイロン掛けしている藤田、女装していると思しき藤田、などなど、さながら「ニューヨークなう」的な滞在生活が、水彩とインクペンで描かれている。どれもこれも、文面が流暢な英語で書かれているのもあいまって、まるでアメコミさながらのユーモアに満ちている。

あと、毎度毎度、奥さんへの「早くきてほしい」という猛烈なラブコールを欠かさない。でっかい磁石を持って奥さんの乗る飛行機を引き寄せようとしている藤田嗣治の図とか書いてある。かわいい。

 

そんな彼の手紙については、美術展で実物を見るのが一番だけれど、こちらの書籍「藤田嗣治 手紙の森へ」に詳しい。

藤田嗣治の人生を、手紙や日記の内容を辿りながら、彼の人生を追うことができる良き本。手紙の文面・絵も多く掲載されている。オススメ。

谷崎潤一郎と藤田嗣治の共通点?

ちなみに、この「藤田嗣治 手紙の森へ」のおかげで知ったのだけれど、藤田嗣治は谷崎潤一郎と同い年だそうな。交流があったかは定かではないけれど、筆記具のこだわりなどに共通点が見られるというのが面白い。

言われてみれば、藤田嗣治の絵も「耽美」と言えるのかもしれない。谷崎はエロスだけでなく、西洋へのコンプレックスも作品に大きな影響を及ぼしているし……何かしら交流があったとしたら、と思うとちょっと楽しい。

こんなところにも藤田嗣治。

藤田嗣治の作品はパリの美術館はもちろん、日本国内の美術館でも収蔵されている。ポーラ美術館や、先日「ヌード展」を開催していた横浜美術館などなど。

 

何しろ生前──また日本がせっせと国際社会に追いつけ追い越せしていた時代、フランスに滞在していた頃から、その作品がパリの美術館に展示されたくらいである。よくよく考えるとちょっとオソロシイ画家ではなかろうか。

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2018年は藤田嗣治没後50年。東京都美術館へGO!

そして、今年2018年は、藤田嗣治没後50年。7月末には、東京都美術館で「没後50年 藤田嗣治展」が開催される。曰く、

本展覧会は、「風景画」「肖像画」「裸婦」「宗教画」などのテーマを設けて、最新の研究成果等も盛り込みながら、藤田芸術をとらえ直そうとする試みです。

引用元:https://www.tobikan.jp

とのことなので、手紙は果たしてどんなものが、どれくらい展示されるのかわからないけれど、ぜひぜひ足を運んで見て欲しい。私も行きます。

 

今回は藤田嗣治の手紙にフォーカスしたけれど、もちろん、絵画だって楽しい。フランスに長期滞在していたとはいえ、あんなに日本人らしい風味とパリの色彩やエロスを馴染ませた絵を、どうやって描いていたのだろう。

「本のしごと」展で購入したミニファイル。うーんエロい。

 

単身、フランスに乗り込み、その画壇の第一線で活躍した日本人画家。そんな藤田嗣治の手紙は、とても個人的で、愛に溢れたしごとの1つだったんじゃないだろうか。そんなことを考える。

 

ABOUT ME
加藤 綾子
フリーランス音楽家という名のフリーター。 後ろ向きだっていいじゃない 人間だもの あやこ という意識の低さで生きている。ヴァイオリン演奏・ライティングなど、お仕事のご連絡はこちらにお願いいたします。ayakokatovn@icloud.com
室内楽演奏会「Endor」開催

「モーツァルトへの手紙」をテーマに、モーツァルト作曲の室内楽曲、そしてオーボエ四重奏のための完全新作「Endor」(エン・ドル)を初演いたします。

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