クラシック音楽

わたしがシベリウスのヴァイオリン協奏曲を演奏しながらゲロった話。

こんにちは。

加藤綾子(@akvnimp)です。

きょうもきょうとて、しょーもない話をします。食事中のかたはバック。

 

いつだったか、我が家のわんこがゲロった話をしましたが、今回は、他でもないこのわたし・加藤綾子が、シベリウス作曲『ヴァイオリン協奏曲』を弾きながらゲロった話をします。

シベリウスのヴァイオリン協奏曲の譜面。この世で最も美しいヴァイオリン協奏曲だと思います。

高校2年生、先生とのレッスンで…

あれは忘れもしない、高校2年生の春。

友人の伴奏ピアニストと共に、学内オーディションに通過し、来る発表演奏会に備えて準備していたころのことでした。

 

その日は、某ホールのスタジオを借りて伴奏付きのレッスン。

わたしは気合十分、母の手作りカレーをランチに、颯爽と電車に乗り込んだところで、

おえっ。

 

おかしい。胃がムカムカするとはこのことか。

レッスン前に気分が悪くなったことは数え切れないが、この、なんとも言えぬ吐き気は何事か。

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途中下車するも、なんとか会場を目指す…!

(え……なにこれ、こんな気持ち悪いこと、いままでなかったんですけど……)

やばい。もう立っているのが辛い。ちょっとこれは尋常じゃない!

 

念のため先生に「気持ち悪いので休みながらいきます、遅れるかもしれません」という旨をメール。

一旦電車を降り、ホームのベンチで休むとわずかに楽になるものの、ともかくゲロッちゃいそうで辛い。

 

しかし、こんなことをしている場合じゃないのです。

きょうは貴重な伴奏レッスン。先生も、伴奏をしてくれる友人Uも、わたしを待っている。そしてなにより、シベリウスがわたしを待っている……!

美しいシベリウスのヴァイオリン協奏曲にのせて…

束の間の安息にさらば。

わたしは「おえっぷ」と船酔いのごとき足取りで電車に再度乗り込み、いつもの1.5倍ほどの時間をかけてレッスン会場へ。

 

とっくに待ち受けていた先生からは、

「だいじょうぶ、一回吐いちゃえば元気になるわよ!」

Uからは、

「だいじょうぶ、わたしなんて一週間に一回、レッスンのたびにゲロってるから!」

日本のクラシック音楽界の将来が不安になるやり取りでしたがまあいい、レッスン開始。

 

そう、なんといったってシベリウスのヴァイオリン協奏曲。

ほんとうに美しくて、わたしがいちばん好きなヴァイオリン協奏曲といえばコレなのです。

出だし、すでに満ち溢れる北欧の香り。フィンランドの作曲家ですから、それはもう寒々しい曲。

でも、そこに作曲家自身のヴァイオリンへの慕情とか執着とか垣間見えて、おうふっ、

 

……っぶねー、セーフ。

伴奏のUが不安げにこちらを覗いていますが気にしない気にしない。

まずはまるっと通さないと。ほら、先生も真剣に楽譜を見ていらっしゃる。

さあ、やってきたカデンツァ。……あれ、止める? 止めちゃうの?

そうか―通さないかー、まあいいや。なるほどなるほど……そうか、ここはピアノがずっとB弾いてるからね、わたしもちゃんと音程合わさなぼえっ、

 

……いや、だいじょうぶ。だいじょうぶですよ。ほんと。ちゃっちゃと弾いちゃいましょう。うん。

……あ、でもいざというときは先生、この子を……わたしのヴァイオリンをお願いします。

4月に新調したばっかりの、イタリア・ジェノヴァ生まれの小柄な女の子なんです……名前は一応「アンジェ」ちゃんにしました……ええ、わたしに、もし、もしものことがあったら、そのときは、

 

そのときは、あっ、

ちゅどーん。
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決壊。

それはそれは、あっぱれなげろっぱでした。

そして、それはそれは、あっぱれな先生の反応速度でした。

 

わたしが決壊するとみるやいなや、先生は楽譜を下ろし縮地のごとき速さでわたしの手からヴァイオリンを奪取、安全な場所へ避難させてくれたのです。

いやはや、ほんとうにありがとうございました。そしてホールの方々、スタジオ、汚してごめんなさい。

 

ちなみに、レッスンはその後も続行しました。

加藤家・シベリウス・ヴァイオリン協奏曲・カレー事件

でも、さすがに限界でした。結局、その日はほとんどレッスンになりませんでした。

レッスン後も、両親が車で迎えに来るまで横になっていましたが、途中でまさかのおかわりゲロ。ホールの職員のかたもドン引き。

もちろん、厳重に処理なさっていました。

 

案の定、その後の通院で正真正銘「ノロウィルス」のご親戚さんに感染していたことが発覚。

先生から謝罪のメールまでいただいてしまい、Uからは「あれくらい大丈夫だよ!」と謎の励ましが来ました。大丈夫じゃねえよ。

 

そんなわけで、「のだめカレー事件」ならぬ加藤家カレー事件と称されることとなった事件。

あれから7年。

その友人Uとは、いまでもいっしょに演奏してもらっています。

シベリウスのヴァイオリン協奏曲も、すっかり思い出の曲となりました。

やっぱり、互いのゲロを見せ合うような仲だと、一生のパートナーになれるのだと思います。

みなさんも、もし「このひとこそは!」という友達に出会えたら、大事に大事に付き合っていってくださいね。

 

それでは、また。げろっぱ!

ABOUT ME
加藤 綾子
フリーランス音楽家という名のフリーター。 後ろ向きだっていいじゃない 人間だもの あやこ という意識の低さで生きている。ヴァイオリン演奏・ライティングなど、お仕事のご連絡はこちらにお願いいたします。ayakokatovn@icloud.com