Belgique

JOUR: 3|140秒4.7インチ

いつかの夜景、ナミュール。

2020.03.20. 

雨。ナミュールは私が自宅に着いた日、つまり自宅にこもり始めた日から皮肉なほどいい天気が続いていて、たぶん、記憶違いでなければ今夜が初めてくらいの雨模様、今朝は目覚めも息苦しく、外にも出られぬ身となれば唯一の楽しみは窓から吸い込む日光と空気だったのが、きょうはどうにもしまらない。

ひとたびインターネットの海を見下ろせば、右にも左にも素晴らしい演奏が浮かんでいて、「ああ、あなたまで」と思うような音楽家までもが、せいぜい1〜2分強の時間、てのひらサイズの映像のなかで、存分にその音楽を奮っている。日がな一日なんとなく目に入るタイムラインに、何度そういう、すばらしい音楽が目に入ってくることか、──考えるほどに気が遠く、やっぱり、本当の音楽家というのは、場所も時間も媒体も次元もレパートリーも関係ない、ただ、彼ら彼女らが「音楽をしている」、それだけでこっちの気をぶんどっていってしまう。彼らの1分と自分の1分、見比べ聴き比べて「なにをやってるんだおまえは」という気分になる。

お前の1分に、いったい、だれが耳を傾けるのか。お前が1時間かけて用意した1分を、彼らはもしかしたら本当に1分で仕上げているかも知れず、あるいは3時間、4時間とかけているのかも知れず、つまるところ時間の問題ではないのだが、それにしたってどうにもならねえ差がそこにはあって、そんなこたあとっくの昔によく知っているのだった。私は彼らではない。

自分について、いろんなことを、これでも知っているつもりなのである。だから無謀にも比べることができるのだった。

ハイキュー!!を一気読みしようがジャンプを定期購読しようが窓の隙間から胸いっぱいの空気を吸い込もうが、いきつくところはそこでしかなく、変な話、ここ3日ほどでようやく、私はナミュールに帰ってきた気がしている。寒くて暗くて湿気ている、独り身には広いリビングの片隅で、これからチキンラーメンを食う。