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新型コロナウィルスと公演自粛──2020令和元年・早春の一時帰国振り返り

2020令和元年・早春の一時帰国が終わろうとしています。いまさら言われるまでもないことでしょうが、新型コロナウィルスとともに私の2週間は過ぎ、その間、いくつもの開催自粛・延期を経験することとなりました。

一時帰国から現在まで、各公演の開催と自粛の経緯、影で行っていたこと・考えていたことなどを、突貫工事ですが書き上げました。参考にならねーのが一番ですが、もしかしたら役には立つかもしれないし、「私だけじゃなかった」「私の方がもっとひどい」と思えるかもしれない、そんな走り書きです。

【チラシの裏】2020年・早春の一時帰国一時帰国まで1ヶ月を切ったので、滞在中公演のチラシの裏をお見せします。 《Duo 照内央晴×加藤綾子》記念すべき帰国第一弾は即興です ...

日本到着〜《ムジコス》インタビュー公開

一時帰国中の公演予定はこちら。

2/22 日本到着

ベルギーより、無事日本帰国。ミン薬のおかげでフライトも快適、すでに不穏な空気は漂い始めていたが楽観視。

2/24 《ムジコス》インタビュー・前編公開

《ムジカコスモス vol.04》インタビュー・前編がasunone誌上で公開。

2/25 政府から新型コロナウィルス感染症に対する基本方針発表

例の基本方針が発表されるも、個人的にはまだイケる気持ち。《デュオ》宣伝追い込み。

 

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新型コロナ流行による首相自粛要請〜《即興演奏勉強会》《うぐいす》開催延期へ

2/26 安倍首相・自粛要請アナウンス

例のアレ。各公演・動揺が走る。流れるタイムライン。

2/27 《即興演奏勉強会》開催延期・発表

自粛要請アナウンスを受け、開催内容の観点から《即興演奏勉強会》開催延期《ムジコス》および《うぐいす》感染症対策を決定、発表。会場「小黒恵子童謡記念館」様にも問い合わせ、メール返信の公開の許可を得た上で併記。

日を同じくして、ムジコスインタビュー後編も公開される。大変な時期にも関わらずインタビュー・執筆してくださったasunone編集長・明日梨(@s2azurin)さんにあらためて感謝を。

そして私は、こんなことも抜かしていた。

結局、自分も動画配信の恩恵に預かるわけですが、やっぱすげー大変でした。簡単にできることじゃねえ。後述。

2/28 《うぐいすの家》ジョイント・リサイタル開催延期・発表

《うぐいす》初回リハにして開催延期決定

超ねばってた《うぐいすの家》が、様々な事情からやはり開催延期に。公演前、最初で最後のリハでの決定でした。そして開催2日前ということもあり、お客様・各方面への連絡に明け暮れる出演者も。

2/29 《デュオ 即興演奏ライブ》・無事開催

《うぐいす》全お客様にキャンセルが無事届いたとのお知らせ。そして、照内央晴氏とのライブ《デュオ》は奇跡的に開催されました。……の前にムジコスのウィルス対策も更新。あくまでも開催するという方針を強める意向、だったのです。

《デュオ》の模様はこちら。

2020/02/29 照内央晴×加藤綾子《デュオ 》2020年2月29日(土)照内央晴×加藤綾子《デュオ》のプログラム、写真、つぶやき、次回予定などまとめ。 前回公演|2019/08...

若者騒ぎ〜《ムジカコスモス vol.04》開催延期決定・発表まで

以下、《ムジコス vol.04》開催延期発表まで、箇条書き。

  • 3/2 《ムジコス vol.04》初リハ。この時点ではヤル気。夜なべしてヴァインベルクのえっちな動画とか音源とか探してた。の矢先に若者騒ぎ

  • 3/3 若者騒ぎを受け、月経によるものだけではない痛みが腹部と頭部を襲う。実際の会見映像も見たが、「さまざまな面から開催がとても難しい状況である」という感想に変わりなし。万が一開催して、万が一、なにかあったら、なにが、だれが、どうなるのか。一転、《ムジコス》延期・動画配信の方針を出演者同士で固める
  • 3/4 《ムジコス》開催延期決定。2回目リハ兼メッセージ決め。夜、《ムジコス》延期発表。購入者・予約者へメッセージ送信後、SNSへ公表。

出演者メッセージは森下氏と相談しつつ、てつやしてかんがえた。

  • 3/5 配信用動画撮影(小黒恵子童謡記念館)。本来ならこの日はリハーサルのはずだった。
  • 3/6 オフ。動画編集、動画配信用のメッセージなど決める。
  • 3/7 12:00〜 動画アップロードするもなかなか終わらなくて焦る。配信用URLの送付メッセージ、返金作業も並行。18:00、予定通り動画配信開始

奇しくも、びわ湖リングの配信裏、しかし再生回数はたった6時間の間にぐんぐん伸び、《ムジコス》YouTubeチャンネル登録者は一挙に3人も増えた。本当に感謝が尽きない。出演者はYouTubeのリアルタイム解析画面を眺め一喜一憂していました。ありがとうございます。

  • 3/9 《ムジコス》返金作業完了およびメッセージ送信。返金を希望せず、延期公演に預けてくださった方も数名いらした。重ねてありがとうございます。そして私は晴れてようやく、留学してから気がかりだった、青色申告の取りやめと廃業届を郵送するなどした。

その後、《ムジコス》についてはHPなど整理し、今回のいろいろありすぎた出来事とその対応について反省点を書き出すなどしていたら、Googleドライブに目覚めた。れんとふくことめっちゃ遊んで、晩酌しながらブログ書く。

そのほかこの一時帰国中は、全然関係ないあははうふふな書類を海の向こうへ提出したり、「日本帰るからレッスンとかオケ練欠席するよ」って言ったはずなのに伝わってなくて慌ててメールしたり、学校から「イタリアの某地域に行った人たちは症状に気をつけて〜」みたいなメールを受け取ったりしていた。

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公演開催に向けて講じた、新型コロナ対策

  1. 出演者各位で所持しているマスク・消毒液・消毒ティッシュなどをかき集める
  2. 受付・スタッフにマスク着用
  3. 飲食物配布予定だった公演はそれを取りやめ
  4. 演奏中、お客様は水分補給可能である旨をアナウンス。容器などにあらかじめ入れた状態でご持参いただく旨も
  5. 会場へ感染症対策の問い合わせ(消毒液の在庫、公式HPなどでアナウンスするものなどあればそちらを引用させていただく)
  6. ①〜⑤を一斉メール(メーリングリストがなければ個別送信)、各種SNSなどでアナウンス

デマとかデマとかが酷くてわけがわからなかったので、やれることはやる・最終的にはお客様のやりたいことをやっていただく、というようなスタンスだったと思う。ほかにも様々な対策を行っている演奏会をお見かけしたので、Twitterを掘ると少しだけ幸せになれます。実施する機会に恵まれた公演は残念ながらほぼありませんでしたが。

新型コロナウィルス感染症で実際に公演自粛・延期した人間の所感

  • 各種報道を常に追いかけながら、公演を行うべきか・行なって良いものか24時間考えながら、さらい、リハーサルをし、広報する。きつい。
  • 各種対応・メッセージを考える。どうすれば誠意が伝わるのか、連絡に抜けはないか、文面は誤解されないか……出演者同士でよくよく相談したつもりが、いざ実行してみると抜けがあったり、またその抜けについてのやりとりも、出演者同士スムーズにいかなかったりする。当たり前だけど、出演者によって事情も違うし考え方も違う。
  • 特に、ぎりぎりまで「開催します」と公言していた《ムジコス》については、実施を確認してくださった方、「他の公演がだめになったから」とチケットを購入し、期待してくださっていた方も多かった。判断を覆し、混乱を招くこととなり、本当に申し訳ありませんでした。
  • 動画撮影。《ムジコス》に関しては、もともとリハーサル兼別途撮り下ろし用に会場を確保していたからよかったものの、そうでなかったらさらに会場費がかかり赤字が半端なかった。そして何より、時間が足りない。準備も撮影も編集も超ぶっつけだった。
  • 赤字=会場費・撮影費・印刷費・当日のお手伝い・交通費・HP維持費など……
  • 一方、各公演、キャンセルをお知らせしたお客様、各会場、みなさまたいへんご理解いただいて、あたたかなおことばと反応をいただいた。これがなかったら本気で音楽家・主催者や関係者は死ぬ。少なくとも心が。
  • けれども、公演開催を延期したことによって、関係者のみならず、お客様、各会場、広報にご協力いただいた各方面、──方々に迷惑をかけてしまったこと、期待を裏切ってしまった事実は重い。出演者としてではなく、客観的に、もっと早く決断すべきだった場面が多くあったと思う。
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2020令和元年・春の一時帰国、まとめ

以上、2020令和元年・春の一時帰国の模様でした。開催予定だった4公演のうち3つが開催延期。新型コロナの公演キルスコアにはれんれんも惚れ惚れ。

すべて自主企画であったため、催しちまった自分のケツを拭うのも自分、キャンセル送金、お客様への告知、お詫びの文面手続きの文面、SNSへの文面、そして赤字精算、すべて、すべて自分たちのケツからひり出さねばならず、開催時期が近ければ近いほど、ぎりぎりまで粘れば粘るほど、拭うケツもでかくなる。

私はまだいいほうだと思う。だってこのままベルギーへトンズラすりゃいいのだ。ちなみに彼の国は3月8日時点で169人の感染者がおわすらしいけれども。すぐ近くのフランスとかドイツとかイタリアとかやべーけども。

さらに私に関して言えば、あとほんの数日の日本滞在の間に状況が一転、「日本滞在者は入国規制or隔離」もありうるけれど、どうも、いまのこのベルギーも様子を見るにぎりぎり帰ることはできるんじゃないかという気がしている。ただの、「なんとなく」である。まったく参考にできないししないで欲しい。

 

だから、日本で音楽家──とりわけ、個人事業主・フリーランスとして生きる人々の現状とこれからに関して、私は、なにも責任のあることは言えない。

他人事だとは微塵も思っていない。むしろ、他人事でないからこそ、なにも言いたくない。

ただ、自分の今回の経験から鑑みるに、「こんな状況でも」演奏会を開かなければならない事情と、万が一なにかが起こって、「なにか」や「だれか」がどうこうなってしまったときのリスクを秤にかけて、それでもやはり、という苦い苦い決断が、中止であるとか延期なのだと思う。なので、どうか、みなさま、音楽家や興行主の人々に対して、簡単に同調圧力とか、大袈裟だとか、そういうふうに言わないで欲しい。出演者兼主催者であることの重みは、すいません、想像していた以上でした。

あれだけ用意して、リハーサルを重ねた楽曲を人前で演奏できずに終える。何度も何度も方々に重ねた宣伝と感謝のことばを、同じ舌と指先で「開催延期を決定しました」と上書きする。公演後のために想像を巡らせていたご報告はお蔵入り、チケット購入者リストにある、ひとりひとりの名前にチェックを入れ、「キャンセル」をクリックするときのいたたまれなさ。見る見るうちにこそげ落ちていく口座の残高。

決行する人々に対しても、然り。興行と直接の関わりのない人々に対しても、然り。

どんな立場であれ、いま、辛い人はただただ辛いだけである。

 

一刻も早い事態の収束と、皆様のご健康をお祈りしております。